column 建築エッセイ

希望と活気をつくるリビングアクセス型住宅プラン「道と暮らす家」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                      魔法の鉛筆がつくるリビングプラン

住宅建築の設計ではまず、リビングのあり方を考えます。家族の暮らしはリビングのつくり方で変わるのでしたよね。

そして、「魔法の鉛筆」は、リビングアクセス型プランをまずは検討します。家に入ると、まず最初にリビングが広がるというプランです。

リビングは住宅の中では開かれた「晴れの場」。明るく賑やかな場所です。家から出る時、家に帰ってくる時、出発と到着の場は「晴れの場」「陽の場」から始めたいものです。

そして、家の中でリビングという場所は、皆が集まる場所です。自然に、心地よく皆んなが集まる建築の仕掛けが必要です。「自然に」とはキッカケをつくると言うことです。私たち日本人には、偶然、何となく、時には仕方なく始まる、そんな自然なコミュニティーが合っているのです。通りの文化のコミュニケーションがそうでしたね。

昔の住宅では、日常の玄関は縁側がその役目を受け持っていました。サザエさんの家がそうです。親しい人や子どもはお客様用の玄関ではなく縁側から出入りをしていました。縁側の先にはすぐにお茶の間、つまりリビングがあり、いつも外部と適度にいつもつながっていました。明るくて、人肌の、あの感覚、生活感が人を優しくしていたのだと思います。

海外のホームドラマに出てくる家もリビングアクセスだということは前述のとおりです。

ところが、リビングアクセスプランの扱い、計画は難しいのです。例えば、家族のプライバシーを守るのにも工夫が必要です。まさかリビングの正面に玄関をつくったりはしませんが、玄関とリビングの位置関係の個性がその家の個性となります。それでもなんとか工夫して取り入れたいのが、リビングアクセスです。それでも入り口近くのリビングに抵抗があるようでしたら、なる
べく明るいて広くて多機能な玄関をつくってください。楽しい玄関がテーマです。  

(写真15.「道と暮らす家」)