column 建築エッセイ

「あれも入れて、これも入れて」で変な家ができる

スポーツの練習では「力を抜け」と言われます。瞑想の時には何も考えないことが理想だとも聞いたことがあります。

でも、できるわけはないのです。あれらこれらといろいろと考えてしまうからです。

建築のコツも実は要求をなるべく捨てることだとは前述のとおりです。

一つのことにこだわればこだわるほど答えはシンプルになって綺麗になっていくものです。

上場企業や、大企業はリスクを背負うことが苦手です。こちらも経てて、あちらも経てなければいけないからです。

最近Uチューバーが人気ですが、自分の思うことを思う通りにやっているので面白い。それなら、そういったものを大手のテレビ局がやったらもっとすごい事になるのではと思いますがそうはいかない。大きな会社には見栄や大義名分があり簡単に新しいことはできないのです。T Vはすごくたくさんの人が見ているので、尖った企画は一歩間違うとユーザーからのクレームや社員の反発があると大変です。

大組織はコンプライアンスやルールが多くなりすぎて自由な身動きはもうできないのです。

たとえば土地活用で賃貸マンションを考えるのなら、あれもこれもとターゲットユーザーを広げるのはこれからはやめた方が良いと思います。どんな方々に住んでもらいたいのかを決断するべきです。

良いものをつくるには、決断するというのがコツでした。

少しくらい判断が間違っても流れやリズムが崩れるよりはずっと良いと思います。建築は生き物です。建築の完成後もずっと変化し続けるのです。 一度にあれもこれもとうまくいくはずはないのです。