column 建築エッセイ

シャネル(パリ?)の「ギャラリー・ラファイエット」は1893年に創業

パリにあるデパート「ギャラリー・ラファイエット」は1893年に創業しましたが、約130年経った今でも現役で、重厚な趣は変え難い価値を放ち続けています。

フランスでは、今ある景観をさらに向上させるものではければ建築してはいけないという決まりがあるといいます。その建物がその街の景観を向上させる力があるかどうかは文化庁が判断するのだそうです。

したがってフランスは、時間が経てば経つほど街の景観は必ず良くなっていくのです。よくしかならない仕組みが整っているのです。

日本にも景観条例など景観の配慮に関する規制があります。地域により建物の色めや、鮮やかさ、建物の高さ、壁面の後退距離などが制限されますが、建築的センスを正面から評価する制度は今の所ありません。

ヨーロッパと日本の大きな違いは、おそらく「ものの見方」に起因するのではないでしょうか?

ヨーロッパでは、「在るものの良さ」を見つけることから始めています。経年変化した外観を尊重し、建築のもともとの躯体(建築を構造的に支える骨組み)など健康な部分に注目し、完璧を求めず、それらを生かし修復しながらバージョンアップしていく。

「一方無いものを補う」と言う日本では、どうしても最初に無いものにフォーカスされ、その欠点が増幅され、失敗が許されにくい文化的な背景もあり、万全を期すためには建て直すということになってしまいます。 ギャラリー・ラファイエットは長い年月の中で、創業当初の趣を踏襲し、時代の変化を生き抜いてきた「成熟した建築」。新しく同じように建てられた建築があったとしても格式や品格は遠く及ぶはずもありません。そしてその価値はこれからも上がり続けるでしょう。