column 建築エッセイ
住宅の世界観1
2024.05.20
バリ好きなオーナーにはバリに住むという夢を建築でかなり叶えることができます。
バリの海沿いにある小さな村を小高い丘の上のリゾートホテルから望むという世界観。
夕暮れになり目の前の海に真っ赤な夕日が沈んでいく
村の家の灯りが少しずつ灯される。
人が人としての暮らしに心が和む。
リビングから3段ほど上がった、海に突き出た「小さな離れの部屋」から、自邸の景色が見える。そこから見えるあちらこちらの部屋の明かりが、バリの村の家の灯りのようにも見える。
家の中のそのまた「離れの部屋」はちょっとした非日常空間なのです。
シンプルに「バリに住みたい」と言ったオーナーが、たったもう一言だけ付け加えたオーダーが
「無駄に広い空間が好きです」でした。
初めて聞いたオーダーに思わず膝を叩いたものです。無理をして無駄をつくる。遊び心でもない、ただ無駄な空間を言われる通りに素直につくってみたら、それはそのままリゾート感満載の家になったのです。
どんなに開放的な空間であっても機能的で合理的な空間だけではリゾート感を味わうことはできなかった。
デザインの調和が取れすぎた空間でもリゾート感を味わうことができない。
そんなことを教えられたバリの家でした。
(写真31.バリ風の家)