column 建築エッセイ
「3丁目のビル」という世界観
2024.05.13
「綺麗でかっこいい」を目指すならシンプルなデザインがよく映えます。軽めですっきりとしたデザインで、色は白と黒とグレーならデザインを外すことはまずありません。
しかし力強くて人生に、ビジネスに希望のメッセージを持たせるのなら、映画化にもなった、昭和の「3丁目の夕陽」の世界観はどうでしょうか?
武骨で大胆で、さまざまな色や素材、形を受け入れたような、一見すると「未完成か?」と思わせるような外観なら成功です。
例えばこのビルのサッシの色は3色もあり統一はされてはいません。黒色やシルバー色のアルミサッシの枠の窓やワインレッドで塗装されたサッシ窓など。その場の外壁に合わせて多様です。
それぞれの階の表情や主張もバラバラで賑やかです。いざという時以外は絶対登りたくない階段が、3階と4階の正面にドンと鎮座しています。あちこちに植えられた草木、花は季節ごとに枝葉を伸ばし、花を咲かせ、街に季節の移り変わりを教えてくれるでしょう。
いろとりどりな3丁目の夕日のような世界観、ワクワクしませんか?
四角いグリッドの世界から抜け出し、
少しの失敗など気にならない世界、入居者の希望と発展がゴールです。
(写真30.マエノ薬局)